【コラム】小説(国語)での人物の心情説明について〜その2・完結〜
2017.10.03
前回の記事「【コラム】小説(国語)での人物の心情説明について〜その1〜」の続きになります。
前回にお伝えできなかった注意点と文字数が指定されていた時のアドバイスができればと思います。
解答(心情説明)を作る時の細かな注意点
注意点は比喩表現や話し言葉を避けることです。例えば,「〜ような気持ち」と書いてしまうとこれは比喩になります。前回の記事では「怒鳴った」という例を挙げました。その心情表現は「怒る気持ち」としました。この時に「怒るような気持ち」と書いたら比喩表現になります。また,「ムカつく気持ち」と書くと,これは話し言葉を使ったことになります。
このような表現は記述式の場合は使わない方がいいです。
文字数が指定されていた場合のアドバイス
記述式の問題では文字数が指定されていることが多いです。その時には以下の手順で進めると解答が作りやすくなるはずです。(※以下の説明で登場する「⑴心情(気持ち)」・「⑵その心情(気持ち)になった理由やその心情(気持ち)の対象」については以前の記事(←こちらをクリック)をご覧ください)
手順①「⑴心情(気持ち)」については10文字くらいを費やすと考えておく
手順②指定字数から10文字分を引いて,残った文字数分で「⑵その心情(気持ち)になった理由やその心情(気持ち)の対象」に書く内容を検討する
たとえばこんな場合には…
前回の記事の例をもう一度使ってみましょう。手順①は「怒る気持ち」になります。この部分の文字数を数えると5字,記述式の解答を作る時には最後に句点(マル)を付けるのでその1字を足すと合計6字になります。今回の「怒る」以外でも「楽しい」や「うれしい」や「悲しい」などで解答を作ったとしてもほとんどん場合,10字前後になるはずです。そこで10字くらいは⑴心情(気持ち)に費やすという見通しを立てます。
その後,残りの文字数で⑵の理由や対象を書くとします。たとえば,指定字数が50字だったら心情(気持ち)で10字費やすとして,残り40字分が⑵の理由や対象を書く字数となります。
計画もなしに書き始めない
記述式で満点を取ることは難しいです。ですが,部分点で△を取ることはそんなに難しくはないと私は思っています。そして,記述式で失敗する生徒さんの多くが計画なしでなんとなく「これを書こうかなぁ」と安易に書き始めています。そうではなくて,上で説明したように,心情説明を2つの要素に分けたり,分けた後にはそれぞれに何字ずつ書くのかの見通しを立てたりすることで,これからみなさんが書く解答は今までと見違えるほど内容がしっかりしたものになると思います。
「正解それ自体よりも正解を分析すると力がつく」
これが現代文(国語)の記述式の解答を書く力を高める方法です。正解を読んで「そうなんだ」と納得して終わりではなく「この正解はどんな要素に分けられるのだろう?そして,この部分はなぜ書かれているのだろう?」と分析すると,「正解ってこんな風に作られているんだ」と知ることができます。前回と今回に分けてご紹介したのは,心情説明の分析結果とも言えます。ぜひ皆さんが持っている問題集や参考書の心情説明の正解を,これまでお伝えしてきた視点で改めて見直してみてください。
そして,正解の作られ方を知ることができれば,後は自分がそれを真似して解答を作っていくだけです。現代文の勉強の仕方がわからないと悩んでいる方は,こういった方法を試してみてはいかがでしょうか。
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