【今日の伊藤塾】感情で「怒る」ではなく言葉で「伝える」〜『嫌われる勇気』の中の話から〜
2017.10.13
『嫌われる勇気』が100万部を超えてベストセラーになってから数年が経ちました。ドラマにもなってご存知の方も多いかと思います。これをきっかけにしてアドラー心理学を知られた方もいるかもしれません。この本を書かれた岸見 一郎さん(古賀史健との共著)のお話の中で,時々この「お知らせ」の記事の中で出て来る「目的論」という言葉について興味深いお話があったので,今回はそれをご紹介したいと思います。
日常生活の中で,怒りの感情が出てくることが皆さんにもあると思います。この感情から自由になるにはどうしたらいいか?というテーマで,岸見さんは次のように語られていました(私なりに要約したものです)。
−−−要約始まり−−−
「ついカッとなって怒ってしまう」と表現することがありますが,実はそうではないことに気づくことから始まります。
自分がここで「怒り」という感情を作り出したら,「相手は自分の言うことを聞くのではないか?」と思って,「怒り」の感情を作り出すという風に考えるのがアドラーの考え方です。
つまり,「この人に自分の言うことを聞いてもらいたい」という目的があって,その手段として「怒り」という感情を使うと考えます。目的論で怒りという感情を考えるとこのようになります。
ここに気づいた後は,怒りという感情を利用しないようにします。怒りではなく,言葉でコミュニケーションをとって,例えば,相手がなにか失敗をしたとしたら,怒らずに「○○○という風に次からしてくれると嬉しいんだけど,どうかな」と言ってみます。
−−−要約終わり−−−
私が『嫌われる勇気』を読んで,新しい視点が手に入ったと思ったのは,この「感情には目的がある」という話でした。
だからと言って,感情をコントロールできるようになったわけではありませんが,この視点を知っていると,ふだん「怒り」の感情が出てきたときに「私はどんな目的で『怒り』という感情を使おうとしているのだろうか?」と気づける瞬間が増えてきました。
保護者の方のお話を聞いていると,「子どもさんと家庭でどんなふうにコミュニケーションをとったらいいのかわかりません」と時々耳にすることがあります。お答えになるかどうかはわかりませんが,私が生徒さんとのコミュニケーションや関わり方で意識していることは目的論です。