【コラム】「なんで勉強しないの?」と言い続けてきた結果…
2017.10.04
起きてほしくない問題が起こったときに「なんでこれが起きてしまったんだろう?どうしてだろう?」と考えることはありませんか?(これが原因論)。私自身もそうです。この発想をした方がいい時としない方がいい時があります。
それはどんな場合でしょうか?
「なんで?どうして?」(原因論)が必要な時
問題を解決するためにどこが悪いのかを探すことは大事なことです。例えば,仕事ではこの見方を使って悪いところを発見して改善していくことがより仕事の品質を高めることにつながるでしょう。塾で勉強を教える時でもそうです。生徒さんに対してどこがわからないのかを探してそれがわかったりできたりするようにしています。
「なんで?どうして?」を人に向けるとどうなるか
仕事では「なんで?どうして?」という発想は効果的ですが,人間関係でそれをしてしまうとうまくいかない場合もあります(2つの例外を除いて)。塾でお会いする保護者の方や生徒さんの中で時々あるケースでいうと,例えば,性格は優しくて友だちづきあいもよくて部活をよく頑張っている生徒さんがいるとします。そして成績は良くない方だとします。そんな時に保護者の方がその生徒さんに言うのは「あなたはどうして成績が良くないの? 成績が下がってきているのにどうして勉強しないの?」という言葉が多いようです。
そして,どうやらそんなふうに言葉をかけても生徒さんの行動は変わらないことが多いようです。もしその方法がいまいちならば別の言葉かけをしてみはどうでしょうか?
「どうなったらいい?」(目的論)が必要な時
「どうして勉強しないの?」の代わりに「これから成績がどうなったらいい?」「成績が上がったとしたらそれからさらにどうなりたい?」というふうに過去のできなかったことではなく未来のありたい姿にフォーカスする質問をしてみたらどうでしょうか。そして,そこで相手が「今よりも成績が上がったらいい」と答えたとしたらさらに「成績が上がるっていうのは,具体的にはどの教科?」,「今より何点上がると嬉しいの?」,「それが実現したらどんなことが起こりそう?」,「家の人はどんなことを言ってくれそう?」,「自分はどんな気持ちになる?」というふうにより未来を具体化してみます。
この未来に起きてほしい場面を具体化することがやる気を高める1つの方法になります。
ふだん頭の中で使う言葉や考えていることが現実の行動に影響を与える
ふだんの生活の中で使う言葉や考えていることが自分たちの行動に影響を与えるということは多くの人が指摘しています。お仕事や勉強の中でも,仕事や勉強という分野でなら原因論的に考えることは効果がありますが,人間関係の中では目的論の方がうまくいくことがあります。私も過去に教えてきた生徒さんたちに対して原因論的に接して説教をしたことがあります。中にはそれでやる気を出して頑張り始めた生徒さんもいましたが,依然としてやる気を出さずに行動も変わらないという生徒さんも多くいました。
そして今は,こういった目的論的な関わり方,それと関わりの深いピグマリオン効果を意識して関わること,毎回の成果に着目すること,そしてその結果として信念を書き換えることの方がやる気を高める効果があると思うことが多いです。
これまで通りこのようなことを考えながらこれからも生徒さんたちと関わっていこうと思います。何かの参考になれば幸いです。
フェイスブック:itojuku