【コラム】「今,ここ」に集中しよう〜不安になったり後悔したりする時には〜
2018.01.23
以前,「問題が起きた時には視野を広げて考えてみると解決のヒントが見つかる」,また「問題が起きて困っている時には関心の矢印が内側(自分)にばかり向いているかもしれないから外側(他者)に向けてみるといい」ということを伝えました。今回は,そのようにして解決のヒントが見つかった後のことについて考えてみます。
「今,ここ」でできることに精一杯取り組む
問題の解決に向けて「こうしよう」という行動が決まったとします。そうしたらその後は,そのことに集中します。「今,ここ」でできることに精一杯取り組むということです。
例えば,1年後に入試を控える受験生がいたとします。その人は模試の結果では志望校の判定が良くなくてD判定だったとしましょう。その人がこれから勉強しなければならないことはたくさんあります。そんな人が「今,ここ」に集中しなかった時には何が起きるか?
未来を妄想すれば不安になる
「1年間勉強を頑張ったとしても成績が上がらなかったらどうしよう」「英語も数学も覚えなきゃいけないことがたくさんあって辛い生活になりそうで嫌だな」「こんなに辛いんだったら志望校を下げたらいいんじゃないかな」といったように,まだ来ていない未来を悪いように想像すれば不安になります。
過去を反省すれば後悔する
今度は反対に,未来ではなく過去の時間を思い出すと,「もっと前から勉強していればよかった」「昔は○○君とは同じくらいの成績だったのにいまでは彼のほうが成績が上になっている。真面目に宿題とか自習とかしとけばよかったなぁ」といったように,過去を振り返れば後悔の念がわきます。
未来も過去も考えずにただただ「今,ここ」に集中する
まだ起きていない未来を妄想して不安になってもいいです。過去を振り返って後悔してもいいです。その人がどんな行動をしてどんな気持ちで過ごすかは本人が決めることができます。
もし,その人が「問題を解決したい」「1年後の入試に向けて最善を尽くしたい」という目標があるのなら,「今,どんな気持ちでどんな行動をした方いいか?」ということを考えて,その上で「不安や後悔はない方が自分には得なようだ」と判断したら,「今,ここ」でできることに精一杯取り組むのがよいです。
「問題を解決したい」「目標を達成したい」という人については,こう考えてみるとよいかもしれません。それは,「未来を思って不安になったり過去を思って後悔したりするということは,『今,ここ』への集中が不足しているということだ」ということです。何か物事に一所懸命に取り組んでいる時には,そのことに没頭している限り,不安や後悔の気持ちは消えているはずです。
不安や後悔の気持ちのままパフォーマンスが低い状態を続けるか,未来や過去のことは一度脇において「今,ここ」に集中するか,これらをまずは自覚的に選択することから始まります。
何か少しでも今回の内容が誰かのお役に立てば幸いです。