【コラム】教育で大事なことーピグマリオン効果ー
2017.09.12
人は見なされたようになる,こういった経験がご自身にもある方はいませんでしょうか?
これまで話してきた短期的な生徒さんとの関わりの中で,私がずっと意識していることはこのことです。
私のことを「不真面目だ」と先生は思っているんでしょう?
私が大学生の頃でした。その時はその日にやっておかなければならない宿題をやっていなかった時がありましたが,宿題をやっていませんでした。少人数での授業でしたので,その授業の先生にも私が宿題をしてないことはすぐに気づかれました。それをきっかけに,私はその先生から不真面目な生徒として認識されるようになったと思います。今思えば,私の思い込みだったのかもしれません。ですが,その時から私は「どうせ私は不真面目なんでしょう,そう先生は思っているんでしょう」とふと思うことがあって宿題の完成度が低い時もありました。
先生から期待されていると思った時
これとは反対の経験もあります。教員免許を取るための授業を受けていて,その授業は「授業の仕方を学ぶ授業」でした。塾講師としてアルバイトをしており集団授業を受け持っていたので,他の学生と比べて経験がありました。順番にみんなの前で模擬授業を行なっていき,それを見ての改善点やよかった点などをみんなや教授たちで話し合う機会も多くありました。その中で私がアルバイトで経験をしていることを知っていた教授からは少し期待されていると感じることがありました。その結果,その授業では宿題を忘れることもなく,むしろ予習も進んで行い,最後のレポートもとても力を込めて書いたことを覚えています。
人は見なされたようになる
こういった経験があるから私は生徒さんと接するときにこのことを意識しています。自分が生徒さんをどう見なすか,もちろん可能性がある生徒さんだと見なしています。
それができるのは,私の意識の根本に相手にどうなってほしいかという目的論的な考え方があるからです。私は,生徒さんにどうなってほしいか?
・礼儀正しくあってほしい
・言葉遣いも丁寧であってほしい
・つまずくことがあってももう一度立ち上がる気持ちをもってほしい
・新しいことに挑戦できてほしい
・悪いことがあってもいい方向に(ポジティブに)捉え方を変えることができほしい
・集中する時は集中して取り組んでほしい…など
細かく書いていったり分類していったりするともっと出てきそうですが,今とりあえずざっとこんな感じで頭に浮かんできました。こうしたことに見合う行動を生徒さんはしているのではないか,もししていたらそれを「おっ,難しい問題でも頑張っているね」「前向きに頑張ろうとしてしてていいね」という風に指摘したいと常に思ってアンテナを張っています。
指摘するからその行動が増える
そうすると,私の中では「私が生徒さんに望んでいる増えてほしい行動」だけがクローズアップされてその他の行動は切り捨てられていきやすくなります。
また,こうして指摘することでさらにその行動は増えます。そうすると,その生徒さんは私からすると私がしてほしい行動をしてくれる良い生徒さんだと感られます。以前にもお伝えしましたが,今いる塾の生徒さんや保護者の方はどの方もとても良い方たちばかりだと感じています。
時には原因論になることも
私自身,こうした目的論を学ぶまではずっと原因論的な見方をしてきました。だから,放っておくと原因論的な見方になってしまいます。授業中や教室での生徒さんの様子を見て,「あっ,今自分は原因論的になっている」と気づくこともあります。原因論的な見方をする時もあれば,目的論的な見方をする時もあります。
でも,私の実体験をふまえても,目的論的な見方をした方が生徒さんにとっては気持ちよく勉強に取り組んでくれると思っているので,意識して目的論的に関わるようにしています。
原因論と目的論の話は過去にも何度かしていて,繰り返しになりますが,何度繰り返してもいいくらいに大切だと思います。またこの話が少しでも皆様の参考になればと思います。